こんにちは。AI活用.COM、運営者の「NAOYA」です。
公認会計士を目指している方や現在活躍されている方の中には、AIの進化によって自分の仕事がなくなるのではないかと不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
特に、生成AIの登場や過去の衝撃的な予測データを目にして、将来性やオワコン説について心配になるのは当然のことです。
しかし、結論から言うと公認会計士という職業自体が消滅するわけではありません。むしろAIを使いこなすことで、より高度な業務へと進化していくチャンスが広がっているのです。
この記事では、AIが会計業務に与える影響や、これからの時代に求められるスキルについて、分かりやすく解説していきます。
- AIによって代替される単純作業と人間にしかできない業務の違い
- 過去に話題となった「49%の職業消失」予測の真意と現在の状況
- 生成AIや監査DXがもたらす公認会計士の新たな役割と可能性
- AI時代に市場価値を高めるために必要なスキルセットとマインド
公認会計士はAIでなくなると言われる理由
「公認会計士の仕事はAIに奪われる」という議論は、なぜこれほどまでに活発に行われているのでしょうか。ここでは、その背景にある技術的な要因や過去のデータ、そしてAIが持つ得意・不得意の側面から、その理由を深掘りしていきたいと思います。
単純作業がAIに代替される現実
まず、私たちが直面している現実として、会計業務の一部における単純作業は、間違いなくAIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)に代替されつつあります。これまで若手の会計士や補助者が時間をかけて行っていた、請求書と帳簿の突き合わせや、財務諸表への数値転記といった「転記作業」や「照合業務」は、AIが得意とする領域です。
例えば、以前は目視で行っていた膨大なデータのチェックも、今ではOCR(光学文字認識)とAIを組み合わせることで、数千枚の書類を一瞬で読み取り、不整合がある箇所だけをピックアップすることが可能になっています。これは、人間がやるよりも圧倒的に速く、かつ正確です。
そのため、「ひたすら電卓を叩いて数字を合わせる仕事」というイメージの公認会計士像は、確かにAIによって「なくなる」運命にあると言えるでしょう。しかし、これは職業そのものの消滅ではなく、「単純作業からの解放」と捉えるべきポジティブな変化なのです。
49%が消えるという予測の真実
「公認会計士 AI なくなる」というキーワードで検索すると、必ずと言っていいほど話題に上がるのが、2015年に発表された「日本の労働人口の約49%がAIやロボット等で代替可能になる」という衝撃的なレポートです。この時、代替可能性が高い職業として公認会計士や税理士が名指しされたことが、現在の不安の根源になっています。
当時の予測の背景 この研究は、当時のAI技術(第3次AIブーム初期)を前提としており、業務の「定型性」に焦点を当てたものでした。会計監査はルールに基づく処理が多いため、計算や照合といったタスクレベルでは自動化しやすいと判断されたのです。
しかし、現在の視点で振り返ると、この予測には誤解が含まれていたことが分かっています。それは、「タスク(作業)」の代替と「ジョブ(職業)」の代替を混同していた点です。計算などのタスクは代替できても、クライアントとのコミュニケーションや複雑な経営判断といった「職業としての本質的な機能」は、AIには代替できないことが明らかになっています。
生成AIが監査業務に与える影響
さらに議論を加速させたのが、ChatGPTに代表される「生成AI」の登場です。これまでのAIは数値処理がメインでしたが、生成AIは言葉や文脈を理解できるため、「第2次代替論」とも呼べる新たな波が押し寄せています。
実際に、契約書の読み込みや監査調書のドラフト作成、会計基準のリサーチといった知的労働の領域でも、AIの活用が進んでいます。例えば、大手監査法人では「RAG(検索拡張生成)」という技術を使い、膨大な専門知識を学習させたAIチャットボットが、会計士の疑問に即座に答えるシステムを導入しています。
これにより、リサーチにかかる時間が劇的に短縮され、業務効率が飛躍的に向上しています。「調べる仕事」や「まとめる仕事」の一部もAIが担うようになったことで、公認会計士の業務範囲は大きく変わりつつあるのです。
公認会計士はオワコンではない
では、AIの進化によって公認会計士は「オワコン」になってしまうのでしょうか? 私は決してそうは思いません。むしろ逆で、AIが進化すればするほど、最終的な判断を下す専門家としての公認会計士の価値は高まっていくと考えています。
AIはあくまでツールであり、責任を取ることはできません。AIが出した分析結果を見て、「この数値の異常は、単なるエラーなのか、それとも経営者の意図的な不正なのか」を見抜くには、現場の空気感や経営者との対話、経済情勢などを総合的に判断する「人間的な洞察力」が必要です。
実際に、監査の現場ではAIによる「全量監査」が可能になり、リスクの見落としが減ったことで、公認会計士はより高度なリスク対応やコンサルティング業務に集中できるようになっています。「作業屋」としての仕事はオワコンかもしれませんが、「経営の番人」としての役割は、これからも重要であり続けるでしょう。
AIには不可能な業務の限界
AIは万能のように思えますが、明確な限界も存在します。ここを理解しておくことが、これからの公認会計士にとって非常に重要です。
AIの主な弱点とリスク
- ハルシネーション(嘘をつく): もっともらしい顔をして、事実とは異なる情報を生成することがあります。
- 責任能力の欠如: AIは法的責任を負えません。監査意見に署名し、社会的責任を負えるのは人間だけです。
- ブラックボックス化: なぜその結論に至ったのか、プロセスを説明できない場合があります(説明責任の欠如)。
特に監査業務では、「なぜその判断をしたのか」という証跡(監査証跡)が求められます。AIの判断を鵜呑みにせず、そのロジックを検証し、最終的に「適正である」と保証する行為は、人間にしかできません。この「信頼」を担保する機能こそが、AIには絶対に代替できない公認会計士の聖域なのです。
公認会計士がAIでなくならない未来と進化
ここまでは「なくならない理由」を見てきましたが、ここからは視点を変えて、AIと共存する未来で公認会計士がどのように進化していくのか、そのポジティブな将来像についてお話しします。
AI共存時代の公認会計士の将来性
これからの公認会計士は、AIを「ライバル」ではなく「最強のパートナー」として活用する時代に入ります。これを「AI共存時代」と呼びたいと思います。
例えば、これまではサンプリング(一部抽出)でしかチェックできなかった膨大な取引データを、AIを使えば全件チェック(全量監査)できるようになります。これにより、不正の兆候をより早期に発見したり、経営課題を深く分析したりすることが可能になります。
また、AIエージェントが自律的にデータを分析し、監査人はその結果を監督・評価するという新しいワークスタイルも生まれています。つまり、公認会計士は手を動かす「Doer(実行者)」から、AIを指揮し、プロセス全体を設計する「Architect(設計者)」や「Reviewer(監督者)」へと、その役割をシフトさせていくことになるでしょう。
専門家への需要と年収の上昇
「AIで仕事が減るなら、年収も下がるのでは?」と心配される方もいるかもしれませんが、データを見るとむしろ逆の傾向にあります。現在、世界的に高度な専門知識を持つ人材が不足しており、特に「会計×IT」のスキルを持つ公認会計士の市場価値は高騰しています。
市場価値が高まる理由
- タレント・クランチ(人材不足): AIを扱える会計士の供給が追いついていません。
- 新たな業務の発生: AI監査やサステナビリティ保証など、新しい高付加価値業務が増えています。
- 専門性へのプレミアム: 単純作業が減った分、高度な判断業務への対価が支払われるようになっています。
実際に、大手監査法人では初任給の引き上げが続いていますし、AI導入経験を持つ会計士には、一般企業やコンサルティングファームから高額なオファーが出ることもしばしばです。AI時代だからこそ、「人間にしかできない高度な判断」ができる専門家の価値は、むしろ上がっているのが現状です。
変化に適応し勝ち組になる方法
では、この変化の時代に「勝ち組」として生き残るにはどうすればよいのでしょうか。答えはシンプルで、「変化を恐れず、新しい技術を受け入れること」です。
従来のやり方に固執して「昔はこうだった」と言い続けるのではなく、新しいAIツールが出たらまずは触ってみる。業務効率化に使えないか試してみる。そういった柔軟な姿勢が何よりも大切です。
また、キャリアパスも多様化しています。監査法人のパートナーを目指すだけでなく、スタートアップのCFOとして経営戦略に関わったり、AIシステムの監査を行う専門家になったりと、活躍の場は広がっています。自分の得意分野とテクノロジーを掛け合わせることで、独自のポジションを築くことができるでしょう。
時代が求める新たなスキルセット
具体的に、これからの公認会計士にはどのようなスキルが求められるのでしょうか。単なる会計知識だけでは不十分な時代になっています。
私が特に重要だと思うのは、以下の3つのスキルです。
- AI活用力(Augmented Intelligence): AIに対して適切な指示(プロンプト)を出し、欲しい答えを引き出す力。また、AIの限界を知り、適切に使いこなすリテラシー。
- 批判的思考力(Critical Thinking): AIが出した答えを鵜呑みにせず、「本当に正しいのか?」「前提条件は合っているか?」と常に疑い、検証する力。これが現代の「職業的懐疑心」です。
- 人間力(Human Touch): クライアントとの信頼関係を築くコミュニケーション能力や、倫理的な判断力。感情を持つ人間にしかできない部分です。
これらに加えて、データ分析のスキル(SQLやPythonなど)があれば、まさに「鬼に金棒」と言えるでしょう。
結論:公認会計士がAIでなくなることはない
今回の記事のまとめとして、改めて強調したいのは「公認会計士はAIでなくなることはない」という事実です。
確かに、単純な計算や転記といった作業は消滅します。しかし、それは公認会計士という職業の本質ではありません。経済社会の公正な番人として、企業活動の信頼性を保証し、経営者に適切な助言を行うという役割は、AI時代においてより一層重要になります。
「公認会計士 AI なくなる」と検索して不安になっている方は、ぜひそのエネルギーを「AIを使いこなすための学習」に向けてみてください。AIはあなたの仕事を奪う敵ではなく、あなたの能力を飛躍的に高めてくれる最強の相棒になるはずです。変化の波を乗りこなし、新しい時代の公認会計士として活躍されることを応援しています。