こんにちは。AI活用.COM、運営者の「NAOYA」です。
2024年から2025年にかけて、翻訳の仕事が来なくなったAIの影響や将来性に不安を感じていませんか。
これまで順調だった案件が急に途絶えたり、単価が下がって廃業を考えたりするフリーランスの方も多いようです。
実はこの現象は単なる不況ではなく、業界全体の構造が大きく変わったことに原因があります。
この記事では、なぜ仕事が激減したのかという理由と、これから生き残るための具体的な方法についてお話しします。
- 翻訳の仕事が激減した背景にある企業の内製化事情
- AI翻訳の普及で変わりゆく単価とポストエディットの現実
- 仕事が来なくなった現状を打破するLLM評価者という選択肢
- AI時代に翻訳者が生き残るための具体的な営業とスキル戦略
翻訳の仕事が来なくなった?AIによる構造変化と現実
2025年現在、多くの翻訳者が直面している「仕事がない」という切実な現実。これは一時的な不況などではなく、業界構造そのものがAIによって根本から書き換えられた結果と言えます。なぜこれほどまでに環境が激変してしまったのか、まずはそのメカニズムを紐解いていきましょう。
フリーランス翻訳者の仕事が激減した本当の理由
ここ数年で、「長年付き合いのあった翻訳会社から連絡が来なくなった」という声を本当によく聞くようになりました。私自身もいろいろな業界の方と話す中で感じるのは、「翻訳需要そのものが消えたわけではない」ということです。
世界全体の翻訳市場規模自体は、マクロな視点で見れば拡大傾向にあります。しかし、私たちフリーランスや小規模な翻訳会社に降りてくる仕事のパイは劇的に縮小しました。その最大の理由は、翻訳業界の「中間層(ミドルティア)」がAIによって破壊されたからです。
業界の変化のポイント
- トップティア(高度な専門・文芸):維持されているが狭き門
- ボトムティア(SNS・簡易翻訳):無料AIツールで消滅
- ミドルティア(ビジネス文書・実務):ここがAIに最も代替され、仕事が蒸発した
かつて多くの翻訳者が生計を立てていた「正確であれば良い実務翻訳」の領域が、AIによる自動化とポストエディット(MTPE)に置き換わってしまったのです。これが、仕事が激減した最大の要因ですね。
実務翻訳とAIの精度向上による内製化の影響
仕事が「来なくなった」もう一つの大きな理由は、クライアント企業の内部で起きている「翻訳の内製化(In-housing)」です。
これまでは、社内会議の資料や海外支社とのメール、簡易的なマニュアルなどは翻訳会社に発注されていました。しかし、生成AI(ChatGPTやGeminiなど)やDeepLの精度が飛躍的に向上したことで、企業はこれらの文書を「社内のAIツール」で処理するようになりました。
「見えない翻訳」の増加
かつて市場に出ていた案件の多くが、今は企業の社内サーバーの中で処理される「見えない翻訳(Invisible Volume)」に変わっています。
特に2024年以降、Microsoft AzureやAWSなどが「データを学習しない」安全なAI環境を整備したことで、企業はセキュリティを気にせず機密文書もAIで翻訳できるようになりました。「数日待って翻訳会社にお金を払う」よりも、「その場で数秒、コストほぼゼロ」で翻訳できるスピード感が優先されているのです。
ポストエディット普及で翻訳単価はどう変わるか
仕事が何とか取れたとしても、次に直面するのが「単価の崩壊」です。皆さんも「MTPE(機械翻訳ポストエディット)」という言葉を耳にタコができるほど聞いているかもしれません。
現在、多くの案件でAIが一次翻訳を行い、人間はそれを修正するだけの役割を求められます。これに伴い、従来の「1ワードあたり10円〜15円」といった単価モデルは過去のものとなりつつあります。
| 業務形態 | 従来の単価目安 | 2025年の現状(MTPE) |
|---|---|---|
| 一般的なビジネス翻訳 | 10円 〜 15円 | 4円 〜 8円 |
| 専門文書(医療・法務) | 15円 〜 30円 | 比較的維持(10円〜) |
問題なのは、「単価は半額以下なのに、労力は半分にはならない」という点です。AI特有の「流暢な嘘(ハルシネーション)」を見抜く作業は、ゼロから翻訳する以上に神経を使います。この「見えないコスト」が、私たちの実質時給を押し下げているのが現状です。
翻訳者の将来性と廃業が増えるミドル層の危機
このような状況下で、翻訳者の将来性はどうなってしまうのでしょうか。残念ながら、「ただ英語から日本語に置き換えるだけ」のスキルでは、廃業を選択せざるを得ないケースが増えています。
特に影響を受けているのが、これまで「丁寧なリサーチと正確な訳文」を売りにしていた真面目な実務翻訳者の方々です。AIは「そこそこの品質(Good Enough)」を瞬時に出力してしまうため、中間の品質に対する対価が支払われなくなっているのです。
翻訳インフレの進行
簡単な文章は全てAIが片付け、人間の元には「AIでも訳せない難解で面倒な箇所」だけが集まってきます。難易度は上がっているのに単価は下がるという、厳しい「翻訳インフレ」が起きています。
翻訳求人がない現状と二極化する業界構造
翻訳会社(LSP)側の事情も変わってきています。求人サイトを見ても「翻訳チェッカー」や「ポストエディター」の募集ばかりで、純粋な翻訳案件の募集は減っていますよね。
大手翻訳会社は効率化のために、登録翻訳者のリストを整理し始めています。AIワークフローに対応できる少人数の「スーパーエディター」に仕事を集中させ、それ以外の翻訳者への発注を停止する動きが加速しています。つまり、業界全体が「AIを使いこなす一部のエリート」と「仕事を失う多数」に完全に二極化してしまったのです。
AIで翻訳の仕事が来なくなった今の生存戦略と未来
ここまで厳しい現実をお話ししましたが、悲観してばかりもいられません。「翻訳」という作業自体の価値は変わりましたが、「言語を扱うプロ」への需要は、実は形を変えて爆発的に増えています。ここからは、私たちが生き残るための具体的な「勝ち筋」を見ていきましょう。
翻訳以外のスキルで稼ぐLLM評価者の仕事
今、最も注目すべき新しい職種が「LLM評価者(LLM Evaluator)」や「AIトレーナー」と呼ばれる仕事です。
これは、AIが生成した文章や翻訳結果を人間が採点し、「なぜこの翻訳がダメなのか」を論理的にフィードバックする業務です。翻訳というよりは「先生」に近い役割ですね。
LLM評価者の魅力
- 翻訳者の「違和感に気づく力」がそのまま活かせる
- 専門性が高ければ、時給数千円〜の高単価案件も存在する
- 「翻訳」の逆工程であり、AIを育てる側に回れる
「文章を作る」のではなく「文章を審査する」仕事へとシフトすることで、AIと競合するのではなく、AI開発のエコシステムに入り込むことができます。
AI時代に必要なプロンプトエンジニアリング
次に必要なスキルが、「プロンプトエンジニアリング」です。これはAIに対して適切な指示(プロンプト)を出し、望む結果を引き出す技術のこと。
「翻訳してください」と頼むのではなく、「30代のビジネスパーソン向けに、親しみやすいけれど失礼にならないトーンで、マーケティング用語を適切に使って翻訳してください」といった詳細なディレクションを行う能力です。
これからの翻訳者は、自ら訳すだけでなく、AIという「優秀だけど指示待ちの部下」を指揮する「監督(ディレクター)」のような立ち位置になることが求められます。このスキルがあれば、クライアントに対して「AI導入コンサルティング」のような付加価値を提供することも可能になります。
専門性を深めてAIに勝つニッチ分野の開拓
AIがどれだけ進化しても、苦手とする領域は残ります。それは「責任」と「文化的な深い文脈」が関わる分野です。
- 高度な専門分野(SME):医学、法務、金融など、間違いが許されない領域。
- クリエイティブ・文芸:ゲームのローカライズやコピーライティングなど、正解が一つではない領域。
- リスク管理:その表現が差別的でないか、炎上リスクがないかを判断する「センシティビティ・チェック」。
「英語ができる」ことに加えて、「法律に詳しい」「最新のWEB3事情に明るい」といった「言語以外の専門性(ダブルメジャー)」を持つことが、AIに対する最強の防壁となります。
翻訳会社に依存しない直接取引の営業手法
最後に、営業戦略の見直しです。翻訳会社自体が仕事に困っている状況で、そこからの発注を待っているだけではジリ貧です。
直接取引(ダイレクト・クライアント)の開拓
AIの使い方がわからず困っている中小企業や、個人クリエイターに直接アプローチしましょう。
提案の仕方も「翻訳します」ではなく、「AI翻訳のチェックをします」や「海外展開のサポートをします」と変えてみるのがポイントです。クラウドソーシングサイトなどでも、単なる翻訳作業ではなく、AIを活用した効率的なワークフロー提案ができる人材は重宝されます。
まとめ:翻訳の仕事が来なくなったAI時代の逆転策
今回は、翻訳の仕事が来なくなったAIによる構造変化の理由と、2025年以降の生存戦略について解説しました。
厳しい現実ではありますが、仕事が減ったのはあなたの能力が低いからではありません。産業構造が変わっただけです。かつての「テキストを右から左へ移し替える仕事」は戻ってきませんが、言葉に魂を吹き込み、責任を持つ人間の役割は決してなくなりません。
「翻訳者(Translator)」から、AIを使いこなす「言語の設計者(Language Architect)」へ。新しいツールを恐れず、味方につけることで、私たちはまだ十分に戦っていけると私は信じています。